映画「ねじ式」見学日記 2
「ねじ式」見学日記 3
11月8日(土)。今日は撮影お休みの日。予定表によると「実景ロケ」のはずなのだが、昨日の撮影終了後に済ませたらしい。
11月9日(日)。予定表によると「ミニチュア撮影/ロケ」となっている。私がいただいた予定表には、場所も時間も書いていない。この撮影も見学したいのだが、時間がとれそうもないのであきらめる。
11月10日(月)。今日も昨日に引き続き「ミニチュア撮影」。だが「店舗セット」と書かれている。昨日とは場所が違うのだろうか? 残念ながら、今日も時間がとれないのであきらめる。しかし、ミニチュア撮影はこの2日間で終わりなのだろうか? もし別日にあるのなら、ぜひ 見学したいものだ。
11月11日(火)。高田馬場での撮影2回目にして最終日。今日は医療関係の会社の工場を借りての屋内ロケがメイン。主だった登場人物の出演が一番多い日だ。
8時15分に現場に到着。すでにセッティングにとりかかっている。挨拶をすると、見学も3回目ということで顔を覚えてくださったらしく、スタッフから親しげな挨拶が帰って来る。なんか嬉しい。
9時、石井監督がいらっしゃる。着く早々、台本に手直しを始め、台詞のなかったところに台詞を足している(ちなみに脚本も監督が担当)。僕が見た限りで は家主(丹波哲郎)と木本(金山一彦)のくだりだ。ということは、ここだけ当日渡しの台本ということになる。声の世界だけでなく顔出しの世界にも当日渡しがあったのか。ちょっと親近感。でも、ラジオドラマのように大幅に変わるということはないんだろうなぁ……。
9時40分、セッティングが完了し、撮影開始。「別離」のトイレのシーンだ。ツベと看護婦(藤森夕子)、他に6人のエキストラが入る。ツベが看護婦に連れられてトイレに入るまでの撮影だが、これはなんなくOK。次の撮影に入る準備をしていると、瀬川昌治 監督がお寿司を手土産に応援に駆けつけてくれた(この「応援」というのは助監督さんが言った言葉なのでそのまま使用したのだが、確かにこれ以外に適切な言葉が見つからない……)。続いて、トイレの中のシーン。ここでちょっとしたハプニングが起こる。ツベがおしっこをするくだりで、そのおしっこの勢いがよく、壁や看護婦にかかるというもの。ホースを蛇口に繋ぎ、おしっこに見せるのだが、水量の調節がうまくいかない。しかもテストの段階ですでにトイレの中はびしょ濡れ。またホースがはずれ、トイレの外(つまりこちら側)もびしょびしょになる。う〜ん、恐るべし「ツベのおしっこ」。そんなこんなでようやくアップ。このシーンがフィルムではどうなっているのか実に興味が湧く。公開が待ち遠しいものだ。しかし今日はやたらと人が多い。取材も入っているし、タレントの事務所の方もいるしで、やはり出演者が多い回だと違うんだなぁ。
11時10分。いよいよ「家主のおやじ」丹波さんの登場だ。家主が加わるだけだったのだが、台本の変更に伴い木本も呼ばれる。丹波さんの登場で、普通 (初めての撮影現場なので普通がわからないが……)だった雰囲気が、一気に明るく和らいだ。とても明るい方で軽い冗談などを言い続け、みんなが笑っている。さすが死後の世界に詳しいだけはある。台本には台詞がないシーンで「丹波ちゃん、アドリブでお願い!」と監督の声。大爆笑の渦に包まれ、11時50分、午前の撮影が終了。ここで12時50分までお昼休みとなる。
今日のお昼は、スタッフと一緒にお弁当をごちそうになった。カメラマンはカメラを持って来て食事をしている。また、照明さんは12時35分なのにセッティングを始めにかかる。後片付けに10分かかったのだから、正味35分の休憩である。「職人」を感じた。
12時50分。他のスタッフも仕事を再開。倉庫の2階を借りての病室のシーンである。ふと横を見ると一人のおばさん(というより、おばあさんに近い)が立っている。何か不機嫌そうな顔をしている。エキストラかと思ったら職員さんで、ここで仕事をするらしい。セッティングの間はご自分の仕事をしていたが、撮影が始まると手が動かなくなっていた。丹波さんのファンなのだろうか? 終いには仕事そっちのけで丹波さんの連れの方とお しゃべりをしていた。
このシーンで初めて役者さんのNGを見ることが出来た。ただ一箇所、口が廻らなかっただけだ。監督はOKと言ったが、丹波さんの「お前もう一回やりたい だろ」に、金山さんが「はぁ(笑い)」と答え、テイク2となる。金山さん、ありがとう。でもそのすぐ後で、丹波さんが途中で 「わりぃ、わりぃ」と台詞を止めたNGがあった……。
14時30分。茶谷さんが現れる。「スタッフルームから遠い所での撮影は行かないかも」と聞いていたので、まさか今日お会いできるとは……。どうやらこの日記を読んでくれているらしい。
15時30分。ここで看護婦役の藤森さんが終了し、花束が贈られる。どうもお疲れ様でした。そして、すかさずスタッフは、 屋内残り1シーンのセッティングに移る。16時10分まで粘ったが撮影までに至らなかったため、用事がある私はここまで。予定表によれば、その後、屋外2シーンの撮影となるはずだ。
帰り際、9番会議室「監名会」のBL川上 威さんを茶谷さんに紹介される。デジカメで撮影していた人だ。どうやら私と同じ見学だったらしい。その川上さ んが11月22日(土)22時50分から自由が丘武蔵野館で「誘拐 」(監督:大河原孝夫 、出演:渡哲也 )の上映会を やるそうなので、みなさんお誘い合わせの上ご参加してはいかがでしょう? 前売り1300円、当日1500円です。(つづく)
「ねじ式」見学日記 4
11月12日(水)。今日はスタッフルームに近い某所でのセット撮影だ。家からバイクで、空いていれば15分の距離。天気も良いのでバイクで行くことに決める。
8時。用意を済ませ、バイクのエンジンをかける。か、かからない……。が、寒くなると起きるいつものことだ、慌てることはない。先週キャンプツーリングに行ったばかりだし、時間をかければかかるだろう。恐らく撮影が始まるのは9時30分位だから、まだ時間はある。セルは廻るのだからバッテリー上がりではないから大丈夫だろう。い、いかん、バッテリーが上がってきた、少し休もう。8時30分、まだかからない。後15分でかからなければ、電車だ。
8時45分、駅に走る私の姿があった。
9時5分。某駅に到着。現場はここから15分らしい。バイクだったらその間に着いてしまうのに……クソ!
9時20分、予定通り現場に到着、挨拶をする。やはりまだセッティング中だ。それにしても、なんか昨日よりみんな疲れているみたいだ。私が帰った後の撮影はハードだったのだろうか? しかも、かなりの人が風邪をひいているようだ。
9時50分、監督が現れ、撮影に入る。「ねじ式」のロイド眼鏡の男(原マスミ )と「別離」 のさえない男だ。さえない男を更にさえなく見せるため、ほくろを付けたり、衣装や眼鏡を替えたり、キャラクター作りに結構時間をかけていたが、撮影は一瞬で終わった。このさえない男役の方は、以前「フォーラム OPEN7ヵ月目だ!! 記念オフ」でお会いした「おかびーさん」に似ていると思ったのだが、これは間違いだろうか? 話しかけてみようと何度も思ったのだが自信がなく、結局出来なかった。
11時、やなぎ屋のお風呂のシーンのためセット替え。単なるスペースが風呂場になっていく様は、ちょっと感激。 12時10分、監督が入りスタンドイン開始。そして12時40分、やなぎ屋の娘(藤田むつみ)が登場。昨日、丹波さんの付き人をしていた一人だ。お風呂の湯を浴びるシーンなので前張りをしていると思ったらしていなかった。ちょっとドキドキ! その時、湯船に入れていたボールが落ちて、お湯が流れるというアクシデントが発生! 一時はどうなるかと思ったが、なんとか違うもので代用し、13時5分に撮影終了、お昼休みに。いつもより時間が遅いせいか、休み時間は30分。今日のお昼は炊き出しで、おにぎりとおでんだ。
13時35分、再開、セッティングが始まる。ツベの想像で、やなぎ屋の娘が男と絡むシーンだ。4人と絡むので、その度ごとに衣装替えをする。14時25分に始まって、16時に終了。藤田さん、お疲れ様でした。
続いて「ねじ式」ヌードスタジオの女だ。16時25分に監督が入るが、ヌードの女(青葉みか)のメイクに30分位かかると いうので待機状態になる。その間にカメラ位置が変わり、レール撮影に変更。17時20分、役者が入り、1カットのみを撮影し、夕食となる。この青葉さんは 前張りをしていた。噂には聞い ていたが初めて見た。これが前張りかぁ。間近で見ることができないので良く分からないが、布テープっぽく見える。内側はどうなっているのだろう? また、 男の場合はどうなるのだろう? う〜ん、ぜひ見てみたい。
18時30分、再開。19時25分、浅野さんが入り、青葉さんと二人の撮影となる。20時、浅野さん差し入れのケーキをいただくため、10分間のおやつタイムとなる。関係ないのに私までいただいてしまった。どうもごちそうさまでした!
21時15分、ツベ側を撮るべくセット替え。21時50分、再開。22時15分、監督が言った「今日最後のカット」が終了。お疲れ様でしたと言い、現場を後にする。しかし実際はツベの2シーンが残っており、もう少しかかって終了、片付けとなったらしい。
ここでちょっと訂正を。見学日記2で《バラ飯》と書いたが、《バレ飯》であることが判明。実は《バレ飯》と聞こえたのだ が、聞き間違いと思い、勝手に 《バラ飯》にしてしまったのである。みなさん、どうも申し訳ない。
更にもっとひどい間違いが! 見学日記3で書いた11月22日(土)「誘拐」の上映会ですが、20時35分開場、20時 50分上映の大間違いです。川上さんゴメンナサイ。2点ともご指摘下さった松戸さん、ありがとうございました。
次回、最終回をお楽しみに。(つづく)
「ねじ式」見学日記 5 最終回 97/11/17 16:00
11月13日(木)。バイクのエンジンは未だかからず。一瞬かかったのだが、すぐ止まってしまった。寒いから、暖かい時に挑戦しよう。
今日は午前中に用事があるため、午後から伺うことにした。12時30分に到着し、挨拶を交す。予想通り、丁度お昼時間だ。 今日のお昼は炊き出しのうどん。勧められたが、お昼は済ませてしまったのだ。お気遣い申し訳ない。
それにしても、なんか昨日より人数が少ないと思うのは気のせいだろうか? 話によると今日の撮影は一部変更があり、ミニ チュア撮影とロケが加わったらしい。ミニチュア撮影が見られるとはラッキーだ。前回撮りこぼしたのだろうか?
13時再開で、セッティングが始まる。腕と脚を白く塗り、他は黒づくめの男女による「アスベストの踊り」(?)のシーン だ。男の方は左腕に怪我をしてお り、女の方はレンチを持っているということは「ねじ式」の1シーンなのだろうか? 午前中にも何カットか撮っていてテストも済んでいるらしく、いきなり本番だった。カメラ位置を変え何テイクか撮り、OKとなる。恐らくイメージ映像だろう。13時45分に終了し、次の「ねじ式」 の列車のミニチュア設営に移る。
ふと見ると、監督が出かけるようだ。どこに行くのだろう?
先程、人数が少ないと思ったのは、風邪により数人がダウンしているためらしい。特に風邪がひどい二人は病院に運ばれていった。クランクアップまであと3日、大丈夫だろうか?
ミニチュアと照明のセッティングが終わり、監督不在のまま、いよいよテストに移る。しかし、列車のミニチュアに煙を流すチューブが写ってしまうとか、 チューブの重さやチューブの引っかかりにより、列車がある所で進まなくなるなど、ずいぶん手間取っている。これは大変だ。どのようにして乗り切るのであろうか?
14時50分、外出中の監督から「撮影を進めるよう」連絡が入る。監督の期待に応え、戻ってくる前に撮影を終わらせよう と、皆、張り切る。様々な試行錯誤が繰り返され、列車の下からの煙はあきらめ、煙突からだけにすることにし、チューブを3本から1本に変更することになっ た。しかし、これでも無理みたいだ。
15時40分。結局、撮影には至らないまま監督が戻ってくる。監督の助言により、チューブを外して線香かタバコを使うことになる。煙が細いが、線香でなんとか大丈夫ということで、16時15分、2時間半かかってやっと本番に入る。雰囲気を出すためか、スモークを使う。(現場では「スモーク」と呼んでいたが、舞台では「ロスコーを焚く」と言う。ちなみにマシンには「LOSCO FOG MACHINE」と書いてあった。 「LOSCO」は多分会社名なのだろう)。しかし、やはり線香の煙がうまくいかず、テイクを重ねる。
16時45分。このままでは大田区にある公園でのロケに支障を来すため、やむなく中断、後日、撮り直しをすることに決まった。スタッフはロケの移動準備に移る。はたしてこのシーンはどういう上がりになるのだろうか。
私は、明日と16日が仕事、撮影が15〜16日は一泊二日で地方ロケのため、見学は無理。それと今日は19時から新宿で行われる8番会議室のオフ会に出るため、私の見学はここまでをもって終了だ。
17時、監督と一部の方にお世話になった旨の挨拶をし、移動準備に忙しい現場を後にした……。(おわり)
見学を許可してくださった茶谷さん、ありがとうございました。そしてスタッフの皆さん、5日間お邪魔させていただき、誠にありがとうございました。いろいろと人間観察が出来、顔出しの撮影手順も分かり、言葉では現せない位の多くのものを得ることが出来ました。ここで得たものを、自分の仕事にきっちりと反映させていきたいと思います。また、稚拙な文章ながら、最後までお付き合いしてお読み下さった皆さん、こちらも本当にありがとうございました。「ねじ式」 は来年のGW、BOX東中野、他で公開予定です。是非、足を運んでみてください。
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